慈恵医科大学病院の中田典生医師(撮影/高野楓菜)
慈恵医科大学病院の中田典生医師(撮影/高野楓菜)
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 AI(人工知能)医療で一歩も二歩も先を行っているのが画像診断の分野だ。CTやMRIといった医用画像機器の劇的な進歩で、1回で何千枚という画像が撮影できるようになり、さらに3D画像に落とし込むことも医療現場では行われ始めている。そんななかで、人間の目ではこれまで見つけられなかった微細な画像の変化を検出したり、病変の見落としをなくしたりといった技術の医療現場での普及が、現実味を帯びている。週刊朝日ムック『医者と医学部がわかる2022』で取材した(東京慈恵会医科大学放射線医学講座准教授・人工知能医学研究部部長)に、話を聞いた。

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 人工知能計算用のパソコンを自作してAI研究を行う、東京慈恵会医科大学(東京都港区)准教授で人工知能医学研究部部長の中田典生医師は、AIの台頭についてこう説明する。

「AIと一口に言っても実ははいくつかのレベルがあり、一般的な人工知能、機械学習、ディープラーニングなどに分かれています。このうち最も高度なディープラーニングは、我々人間の視覚野をシミュレーションしたもの。目に入った情報を脳で受け止める、その仕組みを応用したものです」

 AIが画像診断などに強いのはそのためで、画像処理や車の自動運転などに見られるように、視覚野の部分においては、人間と機械では情報処理力に圧倒的な差が生じており、その点では確実に人間からAIに置き換わっている。

 一方で、中田医師はAI医療に関しては俯瞰した見方をしている。ごく簡単に言えば、「社会のAI実装があってこそ、医療のAI実装が可能になる」という視点だ。背景にあるのは、“AI技術はどの産業においても、使われているアルゴリズムが基本的に一緒”というもの。産業界でのAI化が進むほど、それを応用したAI医療機器が病院にも入ってくるという構図だ。

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日本はITや医療AI化の後進国