「近年、中日ドラフトは12球団トップクラスの勝ち組と言える。今は結果を度外視してでも若い選手に経験を積ませたいところ。しかし地元を中心に常勝を求められる球団であり、立浪監督はそこを理解した上でのチーム作りをしている」(在京球団編成担当者)

 長打力が魅力のドラフト2位ルーキーの鵜飼を我慢強く起用し、高卒3年目でスピードが魅力の岡林は開幕スタメンで抜擢した。そして将来の主砲として期待される石川は下位の打順に据え、思い切り良く打たせてる。投手もエース候補の高橋が既に2勝をマークするなど若手の成長を促す起用も目立つ。

「各選手の個性を伸ばすような起用方法に見えます。そして根尾昂への期待度の高さも感じさせます。投手での起用を示唆したのは、どのような形でも試合で使って経験を積ませたいからでしょう。遊撃手再転向は、京田の後を任せられるレベルの守備力を習得させる意向があるから。中長期的なプランが見えるので、ファンからすると未来に期待を抱けるはず」(在京球団編成担当者)

 立浪監督はセンターラインの守備力を重視している。ショートには高い守備力を誇る京田がいるが打撃の不振もあり、今年から外野手登録となった根尾を遊撃手として再コンバート。シーズン前半にも関わらず、未来を見据えた素早い決断力も光っている。

甲子園のヒーローがプロでも活躍すればNPBを代表するスターになれる。立浪監督自身が一番それをわかっています。根尾の潜在能力の高さは誰が見ても文句なし。投手起用をほのめかしたのもモチベーションを高める狙いがあったのかもしれない。プロで活躍できるようになれるかは本人次第。関係者、ファンを含めてみんなが待っています」(中日担当記者)

 開幕して約1カ月ほどだが「監督1年目でよくやっている」という声は多い。またチーム状況とともに観客動員も上向きで、週末開催となった4月23日と24日の巨人戦ではコロナ禍の中でも2日続けて3万人を超えるファンが球場に詰めかけた。

「落合博満監督時代は優勝しても観客動員に苦しんだこともありましたが、今までが信じられないほど営業成績は順調に伸びています。とはいえ、ここまではミスタードラゴンズが監督に就任したご祝儀もあったはず。勝負はこれからですが今の魅力ある立浪野球を継続してくれれば未来も明るいはずです」(中日関係者)

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