ライブ配信の台本はなし。「文字で伝えられることはSNSに書けるので、映像では動きでしか見えないものを意識します」(村岡さん)(写真:岡田晃奈)

■店に行けば会える存在

 ただ、社員はいわば素人。一から育てるより、有名なタレントを起用したほうが効率も良さそうだが、村岡さんは言う。

「ポスターなどはモデルさんを起用するのが普通ですが、ブランドを体現する服なので、日常では着こなしが難しかったりします。ビジュアルスタッフはよりお客さんに近い距離感で発信できるし、シフトを聞いて店に行けば会える存在でもあります」

 シャツ一枚をとっても、天気や気温によってコーディネートはガラリと変わる。その地域の店舗スタッフのアカウントをのぞけば、「今着られる服」の情報が手に入るのだ。

 公式アカウントだけでなく、社員が企業の看板を背負って発信することで、ユーザーとのつながりを深めたい。そう思う企業は多いはずだが、どの業種でも使える手法なのか。SNSマーケティングなどを手掛ける「ホットリンク」マーケティング本部長の室谷良平さんは言う。

「大切なのは、情報を届けたい相手がどこにいるかです。社員のインフルエンサー化が流行(はや)っていても、SNSにお客さんがいなければ効果は期待できません。アパレルや美容業界のように、スタッフ個人に指名が来る商売との相性がいいと思います」

(編集部・福井しほ)

AERA 2022年5月2-9日合併号より抜粋

[AERA最新号はこちら]