6月1日に改正動物愛護管理法が施行され、販売業者などに対して、販売前の犬猫にマイクロチップを埋め込むことが義務化される。飼い主になる際にも所有者の情報を登録しなければいけなくなる。ペットのマイクロチップ装着について考える。
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日本でペットのマイクロチップ装着が議論される契機になったのは、多くの犬猫が行方不明になってしまった1995年の阪神・淡路大震災だ。2011年の東日本大震災でも同様の犬猫が多く発生。そこから議論が進み、今回の改正動物愛護管理法へとつながった。
マイクロチップは長さ約1センチ、直径約1~2ミリの円筒形の電子器具で、ISO国際規格の識別番号15桁が記録されている。専用リーダーで番号を読み取ることができ、登録団体のデータベースに情報があれば、飼い主の連絡先がわかる仕組みだ。GPSではないため位置情報は確認できない。
マイクロチップの装着後は、登録団体に飼い主の連絡先などを登録しておく必要がある。転居やペットの譲渡による飼い主変更、ペットの死亡時などは随時、登録情報の変更を行うことになる。
マイクロチップは動物病院で、専用の注入器を使って、肩甲骨間を避けてやや首寄りに埋め込まれるのが一般的だ。太めの注射を打つようなもので、痛みは普通の注射と同程度といわれている。一度埋め込むと、一生交換の必要はない。費用は数千円で、別途、登録団体への登録料がかかる。
赤坂動物病院(東京都港区)では、2000年ごろからマイクロチップ装着を行っている。
「マイクロチップはペットの福祉や権利を守る上で大事なものなので、早くから推進してきました。最近は、認知度も高まってきています」(柴内晶子院長)
改正動物愛護管理法では、すでに飼っている場合や、個人間で譲り受けた犬猫のマイクロチップ装着は努力義務で、装着させなくても罰則はない。装着するかどうかは飼い主の判断にかかっている。
日本トレンドリサーチがインターネットで全国の男女2千人に「犬猫のマイクロチップ装着義務化に関するアンケート」を行ったところ、現在、犬猫を飼っている人の75.5%がマイクロチップ未装着と回答。今後マイクロチップを装着させたいかを聞いたところ、55.9%が「マイクロチップを装着させたくない」と回答した。