さらに多くの日本人ファンが期待を寄せているのが、尚志から今年4月にドイツ・シュツットガルトに入団したセンターバック、チェイス・アンリだ。アメリカ人の父を持ち、9年間の米国生活を経て、中学から本格的にサッカーを始めた異色のキャリアの持ち主。身長187センチにアフロヘアをなびかせ、屈強なボディと身体能力の高さは高校サッカー界の中では規格外かつ圧倒的だった。Jクラブを経ずに即、海外挑戦に対する不安の声もあるが、英語を母国語として操れるのは大きなアドバンテージ。そこに日本の高校サッカーで培った“雑草魂”も加わり、今後どのように進化し、どのような形で日本代表のユニフォームに袖を通すのか、待ち遠しい限りだ。

 その他にも興国出身の樺山諒乃介(横浜FM)や桐光学園出身の西川潤(C大阪)、さらに静岡学園出身の古川陽介(磐田)、そして現在の高校ナンバーワンストライカー・福田師王(神村学園)など、楽しみな「高体連出身選手」は数多い。ここ数年、川崎ユース出身の面々や大卒プレイヤーたちが脚光を浴びているが、高校サッカー界も着実に進歩しながら、世界で戦える選手を継続的に輩出している。「ユースか、高校か」のどちらかではなく、その双方が融合し、そこに「大学」も加えた多様性の中で、日本代表は強くなるはずだ。(文・三和直樹)

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