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 個性派俳優・佐藤二朗さんが日々の生活や仕事で感じているジローイズムをお届けします。今回は2つの疑惑について。

*  *  *
 当コラムの僕の担当が変わりまして。

 変わったというか、以前まで担当だったK氏が出産・育児のお休みから復帰して、彼女がお休みの間、僕を担当してくれていたK氏(こちらもK氏。共に女性)から元に戻った形。

 で、コロナ禍ということもあり、原稿のやり取りは主にメールで、なかなか対面でご挨拶が出来ていなかったので、これを機にお2人と会うことに。

 2人のK氏に、大河撮影中のNHKに来て頂きました。その日、僕は午前中のワンシーンのみの撮影だったので、撮影が終わったあと、僕の楽屋でご挨拶することにしたのです。

 撮影を終え、前室(撮影前に役者がいる控え室のようなところ)に行くと、2人のK氏が。

「わあ」

「わあ」というような表情をしたのではなく、音、出てました。「わあ」って。2人揃って「わあ」って口から出てました。

 察するに、僕の鎌倉時代の扮装を見て、「わあ、テレビで見るのと同じ~」な感じの「わあ」でした。

 2人とも、本当にいつも誠実な対応をしてくれる、優秀な担当さんですが、ドラマの現場はそんなに数多く経験はないでしょうから、とても素直な反応だなと思い、失礼ながら「かわいらしい反応だな」と思いました。

「ごめんなさい、着替えますので、ちょっとお待ちくださいね」と言う僕に2人のK氏は「いえいえ、どうぞごゆっくり」。その表情も完全に「わあ」のまま。

 ふふ。なんか、和むなあ。俺にとっては映画やドラマの現場は日常だけど、彼女たちは出版や編集の現場は日常でも、やはりドラマの現場は物珍しいんだろうな。逆に俺がたとえばスポーツ界や漫画界といった異業種の現場に行くと「わあ」と思うのと似たような感覚かな。

 鎌倉時代の扮装から私服に戻り、あとはメイクを落とし、カツラを外すのみ。

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佐藤二朗

佐藤二朗

佐藤二朗(さとう・じろう)/1969年、愛知県生まれ。俳優、脚本家、映画監督。ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの仏役や映画「幼獣マメシバ」シリーズの芝二郎役など個性的な役で人気を集める。著書にツイッターの投稿をまとめた『のれんをくぐると、佐藤二朗』(山下書店)などがある。96年に旗揚げした演劇ユニット「ちからわざ」では脚本・出演を手がけ、原作・脚本・監督の映画「はるヲうるひと」(主演・山田孝之)がBD&DVD発売中。また、主演映画「さがす」が公開中。

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