このような場合には、拙速に結論を出すと勝ち負けとして受け取られてしまうので結論を出さず、冷却期間を置いてどちらの部が勝ったとも言えないような結論に持っていくべきです。例えば、部の上に当たる役職(副市長や本部長)がトップとなるプロジェクトチームを構成し、両部が均等に協力する形を整えるなどの方法です。
収まるまでの間は、両者が出席する会議においては、どちらかの肩を持つ発言はしないことです。そうでないと、翌日からは、他方の部長はヘソを曲げて、全く協力しないか、妨害工作をする可能性もあります。個別に各部長と話をするなどして、角が立たないように物事を進める配慮が必要でしょう。
先に田中角栄が「味方をつくるより敵を減らす方が良い」と語ったエピソードを紹介しましたが、どちらかにつかないといけないシチュエーションを避けて「できるだけ敵をつくらない」ことを優先するのが組織サバイバルにおいては有効なのです。
●久保田崇(くぼた・たかし)
静岡県掛川市長。1976年静岡県生まれ。京都大学総合人間学部卒業後、2001年内閣府入り。ニート対策を内容とする「子ども・若者育成支援推進法」の制定などに携わる。東日本大震災後のボランティア活動を契機として、11年より岩手県陸前高田市副市長を務める。16年立命館大学公務研究科教授、19年より掛川市副市長に就任、21年より現職。