【物件選びの注意点】

(1)広さは60平方メートル前後が価値を保ちやすい

 生涯未婚率や離婚率の上昇、さらに今後加速していく高齢化の影響により、一人暮らし世帯が急増し、ファミリー世帯が減っている。この状況を踏まえると、これまでファミリー用マンションとして考えられていた80平方メートル前後の広めの間取りは、今後の需要が見込みづらいという。

「これから価値を維持しやすいのは、狭すぎず広すぎない、60平方メートル前後のマンション。一人暮らし世帯、夫婦のみ世帯を中心に、夫婦と子ども1人、夫婦と小さな子ども2人、シニアと幅広い層が住みやすく、価格も手頃な60平方メートル前後が最も売れやすく、貸しやすい」(同)

(2)修繕計画に注意

 中古マンションを選ぶ場合に要注意なのが、修繕計画だ。大規模修繕は、10~15年周期で行われる建物全体に関わる修繕工事で、多額の費用がかかる。そのため、多くのマンションでは向こう20~30年先の修繕計画を立て、修繕積立金としてコツコツと工事費用をためている。だが中には管理組合がうまく機能していない物件もあり、適切な長期修繕計画の見直しが行われていないことがある。日下部さんが言う。

「対応策としては、購入前に修繕計画について事前に確認しておくこと。『修繕計画について教えてください』と尋ね、前回の工事から15年以上経っているのに“予定がない”とのことであれば、理由を聞くこと」

(3)2001年以降に完成した物件を選ぶ

「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」が00年に施行された。これにより、01年ごろからの完成物件は、耐震や省エネルギー、遮音性などといった住宅の基本性能を向上させた物件が多い傾向にあるという。前出の後藤さんが言う。

「今は新築マンションでもチープな作りにする物件が増えているため、むしろ10年ほど前に完成した物件の設備のほうが優れている場合も少なくありません。中古物件を選ぶ際は、01年以降に完成した物件をひとつの目安にするとよいと思います」

(4)掲示板、エントランス、バルコニーは要チェック

 中古マンションの場合、その物件の実態は意外なところにあらわれるという。日下部さんによれば、チェックすべきポイントは【1】掲示板、【2】エントランス付近、【3】バルコニーの三つ。まず【1】掲示板は、その物件が抱えているトラブルが見えやすい場所。例えば騒音、共用部分の使用法やゴミ収集に関する注意喚起がされていたりすると、マナー意識が低い住人に悩まされている可能性もある。【2】エントランス付近は、建物の管理状態が最もあらわれやすい場所。例えば電灯が切れたままになっている、掃除がされていないなどは管理不全である可能性がある。

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