実は、正田のタッチプレーの直前に、川又の安打で二塁から本塁をついた中尾孝義が、捕手・達川光男に顔面をタッチされ、流血して担架で運ばれる惨事が起きたばかり。

 ただでさえみんなカッカしているところへ、今度は二塁上で“第2ラウンド”が勃発したのだから、「冷静になれ」と言うほうが無理な話だ。

 二塁ベース上では、広島・伊勢孝夫コーチが中日・星野仙一監督の首筋にタックルをかまし、星野監督も負けずにパンチとキックで応酬する。

 7分の中断後、「騒ぎの中で一番目立っていた」として、星野監督と伊勢コーチが退場になり、試合再開となった。全員を退場にしたら試合ができなくなるという理由からだった。

 何でオレが退場になるのかわからんよ。オレは止めに入ったんだ」と初めは不満をあらわにした星野監督だったが、「代表で退場」と説明されると、「よーし、わかった」と現役時代も通じて初めての退場を了承した。

 これらの騒動に比べたら、セカンドコリジョン適用第1号となった17年7月1日のヤクルト・バレンティンの併殺崩しのスライディングは、まだ穏やかなほうだった?(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2021」(野球文明叢書)。

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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