「エリザベス 女王陛下の微笑み」 17日からTOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマほか全国公開(c)Elizabeth Productions Limited 2021
「エリザベス 女王陛下の微笑み」 17日からTOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマほか全国公開(c)Elizabeth Productions Limited 2021

■格式ある場面と意外な選曲の妙

──エリザベス2世は伯父が退位し、父が他界したことで、若くして戴冠した。それを受け入れ、女王としての人生が始まりました。

「子どものころは想像だにしていなかっただろう。女王になることが決まっても、まさかあれほど若くして戴冠するとは予想していなかったと思う。そこが重要な点だ。『父は悲劇的にもとても若くに他界し、これが私の義務となった。ただただその任務を果たすしかなかった』と彼女自身が映画の中で語っている。女王は見事に任務をこなしている。王室を支持しない人たちの多くも、そのことには同意しているよ」

──映画で触れたイギリス連邦というテーマは、外国の若い世代にとってあまりなじみのないものではないかと思います。気を配ったことは?

「(英国と旧イギリス植民地から独立した諸国で構成される)イギリス連邦の国々と、英国の関係は、かつての支配国と植民地という関係から現在の友好関係国へと変化した、という観点から語った。女王はイギリス連邦との友好関係づくりにかなりの時間を費やしている。連邦国にとって英国は支配国、立憲君主制を強いた国という存在であったが、全く愛着心がないわけではないと思うから」

「エリザベス 女王陛下の微笑み」 17日からTOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマほか全国公開(c)Elizabeth Productions Limited 2021
「エリザベス 女王陛下の微笑み」 17日からTOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマほか全国公開(c)Elizabeth Productions Limited 2021

──ミッシェル監督は音楽の使い方にかなりこだわっていたように思います。格式ばったシーンに庶民的な音楽を挿入しているあたりの対比がおもしろかったですね。

「僕が生まれたとき、女王はすでに女王で、現在もそうだ。その時代の音楽というのは相当の量だよ。1950年代から現在にいたるまで、国民の音楽嗜好は大きく変化した。70年間のすべての時代を通した音楽を入れたかった。加えて驚きの選曲もまぜたかった。53年の戴冠式の映像とUKグライムのストームジーを組み合わせることはあまりないと思うし、そうすることで観ている人を驚かせたかった。ロジャーが絶対に入れたいと希望したのは、ポール・マッカートニーの『ハー・マジェスティ(Her Majesty)』だよ。ザ・ビートルズの曲を挿入する許可を取るのはすごく難しいんだが、2曲使用できた。ビートルズがバッキンガム宮殿で大英帝国勲章(MBE)を授与された場面に『ノルウェーの森』も入れることができたんだ」

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