サッカー日本代表が良い例です。今年開催のカタールW杯出場をかけたアジア予選のアウェー試合は地上波放送されず従来のような盛り上がりに欠けた。ところが先日のキリンチャレンジカップのブラジル戦は地上波放送もあり話題となった。リアルタイムで誰もが見られる地上波の強さが立証された。当然、スポンサーからの反響も多くビジネスとしても旨味があった」(大手広告代理店関係者)

プロ野球もシーズン中はCS放送、DAZNなどへ中継はシフトしている。各球団のファンは贔屓チームの試合を見るが一般視聴者はそこまで追いかけない。しかしクライマックスシリーズ、日本シリーズなどが地上波で放映されると野球熱は一気に高まる」(関東キー局テレビ局関係者)

 サッカー、野球以外でわかりやすい例としては、五輪競技も挙げられる。普段は試合のルールさえも分からないマイナー競技であっても、地上波で放送される五輪では大注目を浴びる。スター選手が生まれ、時には大口スポンサーが見つかることもある。

 ネットの普及が進み自分自身で取捨選択して情報を得る現代社会では、その競技に興味のない層を振り向かせるのは非常に難しい。さらに、チケットを買って興行へ足を運ぶことや、配信に課金して視聴してもらうことは、さらにハードルが高くなる。地上波放送という無料媒体は、ある意味では最強の宣伝ツールとも言える。また、地上波ではないBS放送に注目、有効活用するのも大事という声も聞こえる。

「現在は普通の家庭でもBS放送を視聴できる。スポーツのみでなく、地上波の名物番組が打ち切りになった後、BSで復活するケースも増えた。地上波のように視聴率、スポンサー獲得のハードルが高くないのが理由の1つ。格闘技などのスポーツはBSでなら生き残れる可能性もある」(関東キー局テレビ局関係者)

 2011年に、地上波アナログ放送がデジタル放送へ完全移行し、どの家庭でもBS放送が視聴できるようになった。各民放キー局は1チャンネル、NHKは番組によってはマルチ編成を行い最大3チャンネルのBSを通常使用している。その中でバラエティ番組を中心に長寿番組がBSへ移行するのがトレンドだ。

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