──5月にウクライナ支援のチャリティーCDをリリースされましたね。
CDの製作費は私が負担したので、売り上げは全額、日本チェルノブイリ連帯基金(JCF)を通じてウクライナの人々に寄付されます。JCFはチェルノブイリ(原発事故)の被災者を支援し続けてきた団体。私は非常時だけ応援するって嫌なんですよ。現実には災害や戦争の後どうやって生き抜くかっていう問題があるわけだから。武器支援もしたくないので、受け取り手がはっきりしている団体を選びました。
──平和のために行動を起こす原動力とは?
母が克明に話してくれた2歳までの戦争体験が、私の原点です。満州での難民生活中、赤ん坊を背負っているとソ連兵に襲われる心配がないから、女性たちは「とこちゃん貸してー」って、お守り代わりに私をおんぶして出かけたそうです。
果敢に生きたんですよ、みんな。赤ん坊は事情がわからないから、母は「あなただけは幸せそうだった。天下泰平ね」って言ってました。そして「あなたが希望だった」って。
国は戦争に勝つためなら国民をコマとして使うことを、日本人はさんざん経験しましたよね。人のための国なのに、国は国のために人を殺す。それが戦争なんです。あらゆる戦争は正義を主張するけど、それをただ黙って受け止めてはいけない。人々は、「私たちが生きたいんだ」ってもっと威張っていいはずです。
(構成/本誌・大谷百合絵)
※週刊朝日 2022年6月24日号