■副総裁の麻生氏 野中広務のよう
御厨:野中氏は晩年、「公明党との関係では人がおらん」と言っていた。「どうやったらできるんですか」と聞いたら、「10年、20年潜って付き合わないといけない」と言った。今はその潜りがいない。もっとも、野中氏自身、公明党とのパイプを人にとられたくなくて、後継者を育てなかった面はあると思いますが。
松原:そういう役割は、本来は菅前首相が適任だったのかもしれませんが。二階元幹事長も封じ込められましたし、ああいう寝業ができる人がいなくなった。
御厨:あえてかつてのような自民党政治家をあげるなら、麻生太郎副総裁かもしれません。国民民主の玉木代表と頻繁に連絡を取り合っているようですし、連合に手を突っ込んだのも麻生氏だと言われている。首相までやった人が副総理をやって存在感を示して、それが終わったら「島流し」ポストの副総裁。それでも自分の仕事を見つけて政権の主流になっているわけですから。普通はありえない。
松原:ある意味、かつての野中氏のような感じになっている。
御厨:高村正彦氏が安倍政権時代に副総裁として外交をやったように、所管業務がない副総裁はその気になれば何でもできてしまう。しかも、首相経験者がやるから威厳を持つ。麻生氏は首相としてはぱっとしなかったけれど、晩年に伸びましたね。
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(構成/本誌・村上新太郎)
※週刊朝日 2022年7月1日号より抜粋