【左】『ひばりの朝』ヤマシタトモコ(祥伝社)/【右】『今日からCITY HUNTER』錦ソクラ(コアミックス)
【左】『ひばりの朝』ヤマシタトモコ(祥伝社)/【右】『今日からCITY HUNTER』錦ソクラ(コアミックス)
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 コロナで在宅時間が増え、マンガにハマる人も増えている。マンガに詳しい2人に、最新の注目作品を挙げてもらうと、#MeToo運動やルッキズムなど社会の動きをとらえた新たな名作も続々と誕生。AERA2022年7月18-25日合併号では厳選した16作品を紹介する。

【画像】トレンド系、社会問題系など注目のマンガを一挙紹介!

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 社会現象となった『鬼滅(きめつ)の刃(やいば)』や、初回数話無料のマンガアプリなどをきっかけに、マンガにハマったという人も少なくない。いま注目のマンガは何か。

 マンガに詳しいライターの山脇麻生(まお)さんは言う。

「コロナ禍もあり、スマホでマンガを読む層が拡大しました。数多(あまた)あるマンガアプリの中でも特にヒット作を連発しているのが、集英社の『少年ジャンプ+』です」

「週刊少年ジャンプ」の電子版が購入できるうえ、オリジナルの連載や読み切りも多く取りそろえ、新人の作品が一夜にしてヒット作になることも。

 例えば、最終話を配信した日の閲覧数が300万回を超え、ジャンプ+で最多だった『タコピーの原罪』のタイザン5(ファイブ)も新人だ。本作に登場するのは、地球にハッピーを広めるためにやってきた宇宙人タコピー。ほのぼのとした内容かと思いきや、テーマは「いじめ」や「家族の問題」と重い。

「最新話が配信されるたび、SNSでは考察や予想合戦で盛り上がり、世間の媒体への信頼度の高さと新人の層の厚さを同時に感じました」(山脇さん)

 ジャンプ+発の作品といえば『SPY×FAMILY(スパイ・ファミリー)』も外せない。スパイの男性と殺し屋の女性、そして超能力者の少女・アーニャが世界の平和を守るため仮の家族となって暮らすコメディーだ。設定の妙や展開の緩急、アーニャのかわいさに加え、世界同時配信となったアニメでその人気は世界規模に。

「2023年以降、『少年ジャンプ+』の新連載は、『MANGA Plus by SHUEISHA』を通じて全世界へ配信されるとの発表が6月にあったばかり。今後ますます『ジャンプ+』から目が離せません」(同)

■いにしえのオタク文化

 一方、少女マンガの現在の王道作品は何か。京都国際マンガミュージアムの学芸員、倉持佳代子さんは『うるわしの宵の月』を挙げ、「初々しい恋を応援したくなるような作品です」と話す。

『うるわしの宵の月』やまもり三香(講談社)
『うるわしの宵の月』やまもり三香(講談社)

「主人公は“イケメン王子”と呼ばれている女子高生。転んだ女子をお姫様抱っこして運ぶ女子が、初めて恋に落ちてうぶな一面をみせます。彼との関係が一進一退するのを応援する、少女マンガの醍醐味(だいごみ)があります」

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専門家2人が厳選する注目のマンガ作品