メジャーでの通算成績は142試合に出場し、71安打、本塁打0、21打点、9盗塁。守備では時折、周囲を唸らせるプレーを見せたが、日本での実績を考えると非常に物足りないものとなった。

「攻撃面でここまで壁にぶつけるとは意外だった。西武時代は広角に打ち分けるバットコントロールはもちろん、パワーとスピードも素晴らしかった。メジャーでは確実性も低くなり、力強い打球を打ち返すことができていなかった」(MLBアジア地区担当スカウト)

「打撃投手の球を打っても外野の頭を越えることが少なかった。パワー、打ち方の両方に問題があったのだろう。相手投手の球威を利用して逆らわずに打ち返すタイプ。確実にミートできなければ結果にはつながらない。渡米した日本人選手が直面する動く球への対応にも、予想以上に手こずった」(在米スポーツライター)

 メジャーでは苦しんだ秋山だが、34歳とまだまだできる年齢ではある。とはいえ、すぐさま活躍できるほどNPBのレベルは低くはない。

「日本復帰は懸命な選択。しかし、かつてのような結果を出せるかどうかは未知数。米国で2年以上プレーし、その間に多くのものが変化している。現在のNPBは極端な投高打低が進んでいる。また秋山自身も米国仕様の打撃に適応しようとしていたため、再びNPB仕様に戻さないといけない。早く調整を始めないと時間が足りない可能性もある」(在京球団編成担当)

 今季はロッテの佐々木朗希が完全試合を達成するなど、ノーヒットノーランが続出。さらに、6月26日終了時点で防御率1点台の投手が両リーグで7人も存在しており、投高打低が顕著だ。そんな中で、実績はあるとはいえ“実戦感覚”を失っている秋山が活躍できるか不安な部分も少なくない。

 また、技術的なことだけでなく、メンタルの部分も重要な要素になってくるという。

「精神面のケアも必要となるはず。世界最高峰の舞台での大きな挫折をした心の傷は大きい。また、渡米前から注目され各マスコミ、イベント等に引っ張りだこ。西武時代とは比べ物にならない待遇をされたことで、以前のようなハングリー精神が薄れていないかも心配」(在京球団編成担当)

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それでも秋山が“不良債権”にならないワケ