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 さらに組織内の疑心暗鬼ムードは、少なからずお互いの情報不足からきていることが多いです。

 ちょっとしたコミュニケーションの積み重ねがそれを解消してくれるでしょう。例えば、少し雑談をしたら、驚くほどネガティブな雰囲気が解消されるのは、経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。

 だからこそ、職場では大切な仕事として、「休憩」と「相互のコミュニケーション」を意識的に入れ込んでいくべきなのです。

 これは、戦場という厳しい環境で、全滅する部隊とそうでない部隊を分ける、重要なポイントの一つでもあります。

 また、危機に瀕した時、部隊の長(おさ)がやるべき、一つの決断があります。それは「やらない業務」を決めて明言することです。

 実際の企業においては業務を減らすことは、収益やチームの成績が下がることを意味しており、なかなか難しい決断かもしれません。

 しかし、その責任を負うからこその長(おさ)です。

「2段階職場」にある場合、健全な状態に戻すためには、小手先の対処よりも、長の“腹決め”が重要なポイントとなります。

■組織からの退却は軽やかに、なるべく元気なうちに

 あなたが今「2段階職場」にいるならば、たとえ今は被害者や傍観者の立場であったとしても、「怒り」の感情が、あなた自身を蝕み始めるでしょう。

 組織内に発生した「怒り」はやがてエスカレートして、最初に挙げた項目のようなトラブルが多発します。あなた自身にも「怒り」が発生して、さらなる怒りのエスカレーションが、周囲にも自分の中にも引き起こされていく可能性が高いでしょう。

 今後、職場の状況が改善しないのが明らかならば、直ちに「離れる」、速やかに「退却」することを考えてほしいと思います。

 もちろん実際には、それぞれの人生においてあらゆる要素が関わり、見極めが難しいことはわかります。

 しかしここで、カウンセラーとして、皆さんに知っておいてほしいと思うことが一つあります。

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