・疲労の3段階
疲労が深まり、消耗した状態。回復には3倍の時間がかかります。周囲や世の中への警戒も3倍、イライラ、怒りなどの感情も3倍です。エネルギーが枯渇して、心も体も動かなくなってしまいます。いわゆる「うつ状態」です。
このように疲労には3段階があります。
個人レベルでも組織レベルでもなんらかの要因が重なり、メンバーの3分の1が「疲労の2段階」になると、組織自体が「疲労の2段階」に陥り、最初に挙げたようなトラブルが急激に起こり始めます。これが「2段階職場」です。
■「2段階職場」ではスケープゴートが生まれる
もちろん人間関係のトラブルは、通常の職場でも起こりえます。
職場とは、そもそも「怒りの多発地帯」です。また、人とは本能で他人に勝ちたいもの。出世競争が激しければ、妬みが生じたり、派閥間の争いも発生したりもします。
しかし、経営の悪化、多忙、人材不足、不祥事、将来性がないなどで「2段階職場」となった現場では、お互いの警戒が高まり、必要以上に人間関係がギスギスしてしまう。それでまた疲労が深まっていくという、悪循環に陥ります。
「2段階職場」では、いわゆる「スケープゴート」も生まれやすくなります。
調子が悪い時、人は「原因究明」をしたがります。すると、その一つとして「あの人が悪いからだ」と、攻撃対象が生まれるのです。
多くのメンバーがイライラしている中で、共通の攻撃対象が1人いれば、少なくともその間は、怒りの矛先は自分に向かいません。スケープゴートを仕立てることで、人は我が身を守り生き残ろうとするのです。
逆に言えば、健全な組織ではスケープゴートは発生しません。
■強い組織に不可欠な2つの要素
では、どのようにしたら組織は健全になれるのでしょうか。
全員が疲労しなければ、その組織は2段階職場には絶対にならないでしょう。でもそれは現実にはありえません。
まず大切なことは、「自分自身も他のメンバーも、ロボットではなく生身の人間。お互いにエネルギーには限界があり、疲れるものなのだ」と認識すること。