長年「自衛隊」という大きな組織の心理教官を務めた、心理カウンセラーの下園壮太さんは「組織が一定の疲労状態に陥ると、急激にメンバー間のバトルが多発するようになります」と語る。「組織が疲労する」とはどんな状態か。『自衛隊メンタル教官が教える イライラ・疲れをとる技術』を刊行した下園さんに、そのメカニズムと対応策を聞いた。
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■笑いが減る、言った言わない、不公平感に過敏など、疲労した組織の特徴とは
まず、あなたが今いる職場について、次の項目はどのくらい当てはまるでしょうか。
□挨拶が暗い、笑いが減る、愚痴が増える
□残業が多くなる、ところどころで仕事が溜まる、遅くなる
□言った、言わないなどのトラブルが増える
□仕事上のミスが増える、ミスへの当たりが強くなる
□仕事を押し付けあう、手伝わない、いちいち意義を求める
□不公平感に過敏
□少しの変更に対応できない、予定を知りたがる
□小まめなホウレンソウができなくなる、嘘が多くなる
□人間関係のトラブルが多くなる、他人の悪口が増える
□部内派閥ができる、他部署との対立が多くなる
□パワハラ、セクハラ、いじめなどのトラブルが増える
□リーダーへの期待(不満)が高まる
これは私が「2段階職場」と名付けた、組織力を失った職場の特徴を挙げたものです。
当てはまる項目が多いほど、組織の力を失っていると考えてください。
「2段階」とは疲労のレベルのことを示しています。
疲労には1段階、2段階、3段階とあるのですが、個人レベルでは次のように考えます。
・疲労の1段階
何かストレスがかかっても、一晩寝れば元に戻れるという、通常の状態です。
・疲労の2段階
疲労が重なり、同じストレスがかかったら一晩寝ただけでは戻れず、回復には2倍の時間やエネルギーを要する状態。表面上は通常通りを装っていますが、潜在的に自分が弱くなっているのを感じているので、周囲に対する警戒心が高くなり、怒りや不安の感情も、2倍発動しやすくなります。理由のないイライラが始まり、怒りっぽくなります。