AERA2022年7月18-25日合併号より
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■さりげなく交通整理を

 ここは「そうなんだ」と共感しながら最後まで聞いたあと、話をまとめるのとは正反対に、話を広げる方向に持っていくのが正解だ。

 一方、ビジネスの場面では、相手の話を要約して反復することが有効になることもある。

「よくいますよね。会議が白熱してくると自分の意見をとにかく早く言いたくて、発言中の相手が息つぎする瞬間を息をのんで待っている人が(笑)。で、いよいよその瞬間がくると、『ちょっといいですか?』と言って会話を切ってしまうのです。そういうときこそ、相手の話をまとめてから自分の意見を言えば、やりとりが途切れない。会話クラッシュを回避できます」

 はいはい。この「ちょっといいですか」は冒頭のエピソードに出てきたライターも言っていたっけ。特にオンライン会議では、人の話は聞いていないのに、人には自分の話を聞いてもらいたい時によく出てくる掛け声と、心した方がよさそうだ。

 もうひとタイプ紹介してもらった。話し上手を自任する「うまいこと言いたがり」タイプだ。自分の意見を言いたがらない国民性と言われたのも今は昔。SNSの発達で「いいね!」をもらう快感を知り、日本人のキャラ変が進んでいるらしい。話し上手でおもしろい私の話を聞いて!と言わんばかりに、会話をかっさらっていくタイプのクラッシャーも、最近増えているという。

 では、そんな会話クラッシャーたちに会ってしまったら?

「『最後まで聞いたら?』などと言ってクラッシャーをいさめると、カドも立つし、何よりそこでまた会話がクラッシュしてしまう。プライベートなら、関わらないのが一番です」

 はい。以降気を付けます。

 ちなみにビジネスの場面なら、さりげなく会話の交通整理をする司会役を買って出るのも手だという。クラッシャーになるより、「よっぽどデキる人に見える」そうです。(ライター・福光恵)

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