今回、本誌でもネットでアンケートを実施したところ、様々な事例が寄せられた。典型的なのが、私のような会話泥棒タイプだ。どんなに遠い話題でも巧みに自分の話に引き寄せ、一度スピーカーの椅子を手に入れたら、もう意地でも離さない。

「ある話題についてこちらが話し始めると、最後まで話を聞かずに『俺はこうだよ』と割り込んできて、自分の話にすり替える。しかも長々と話していく人がいる」(54歳・パート)

 あるある。って、それも私かも。さらに面倒なのは、相手の発言をディスり、周囲を凍(い)てつかせるタイプだ。

「テレビや夕食の献立について和気あいあいとおしゃべりしていたら、『そんな番組のどこがおもしろいの?』とか『週刊誌なんて嘘(うそ)ばかりだよ』など、思い切り水を差してくる人がこれだと思う」(59歳・会社員)

■自分が中心じゃなきゃ

 ストレスフルな社会を生き抜く現代人の、わずかな憩いの時間さえぶちこわしてゆくクラッシャー。その心理を推し量ると、「常に自分が話題の中心にいたいのかも」(54歳・パート)、「何でもかんでも否定で入るあまのじゃくキャラ。自分が会話を引っ張る中心にいないと気がすまない」(59歳・会社員)といったところか。

 いかん。自分が今にもやりそうな行為ばかりなんですけど。ならば、クラッシャーにならないための心得を学ぼうではないか。『話し方で損する人 得する人』『部下 後輩 年下との話し方』(どちらもディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者で心理カウンセラーの五百田達成(いおたたつなり)さんに聞いた。

「会話クラッシャーに共通しているのは、何といっても『人の話を聞いていない』ということ。これはビジネスの場面でも、プライベートでも同じです。かつてはコミュニケーションにおける話し方がクローズアップされたこともありましたが、今は聞き方のほうが大事と考える人も多い。つまり聞き方こそが、コミュニケーションの鍵になりつつあるんです」

 ふむふむ。人の話をしっかり聞いて、「会話は言葉のラリー」(五百田さん)と頭にたたき込んでから会話に入れば、クラッシュ行為はかなり防げそうだ。

 ただし、同じ聞き下手の会話クラッシャーたちにも、それぞれのキャラがあるという。分類してもらった。

 まず多いのが、まとめ屋タイプ。「要するに○○でしょ?」と相手の話を要約する。ライターの職業病か、自分も相談を持ちかけられたり、友人や家族とちょっとした口論になったりしたときに、よくやる。

「とくに友人や家族とのおしゃべりでこれをやると、会話がクラッシュしがちです。早々にまとめて、自分の話題に移したいという気持ちがあるかもしれませんが、相手だってただただ聞いてもらいたくて、おしゃべりしていることは多いのです」

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