日本の大学の実力は世界で何番目か――。これを知る指標の一つが「世界大学ランキング」だ。代表的な世界ランキングをみると、中国の大学が近年大きく順位を上げており、2021年版のランキングではアジアの大学で初めて世界トップ20入りを果たした。一方、日本の大学も少しずつ上昇しているものの、上位には食い込めていない。日本と中国の大学の差はどこにあるのか。
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全世界の大学を評価する機関は複数あるが、影響力があるとされるランキングのひとつが、イギリスの「Times Higher Education(THE)」社が公表するWorld University Rankingsだ。
【ランキング】東大は36位!世界トップ20大学と日本の大学の順位はこちら<全3枚>
各大学は、教育=30%、研究=30%、論文=30%、産学連携=2.5%、国際化=7.5%の5つの指標で評価され、それらを総合したスコアで順位がつけられている。それぞれの指標は次の観点から評価されている。教育=THE社による評判調査(Academic Reputation Survey)、教員数と学生数の比率など。研究=同評判調査、教員1人あたりの学術雑誌掲載論文数など。論文=論文の被引用数。産学連携=教員1人あたりの研究費収入。国際化=外国人留学生の割合、外国人教員の割合など。
別表では1位~20位と、日本の大学の順位を掲載している。上位を占めるのはアメリカやイギリスの大学。「論文」の指標が軒並み90台後半と高い。アジアの大学をみると、中国の清華大が20位、北京大は23位、その次にシンガポール国立大(25位)が入る。日本トップの東京大は36位、京都大が54位だ。
ランキングは毎年発表されているが、20位以内にアジアの大学が入るのは、現在のランキング指標が導入された2011年以降初めて。15年には北京大が42位、清華大は47位だったので、大きく順位を上げている。
日本の大学の順位も上がっている。15年、東京大は43位、京都大は88位だった。だがそれ以上にアジアの他大学の上昇は大きい。今年3月に行われた内閣府による総合科学技術・イノベーション会議(第53回)の資料では、「また、海外に目を向けてみると、アジアの主要大学が研究、予算面で存在感を増しており、我が国は欧米のトップ大学はもとより、アジアの中でも存在感が低下している」と懸念が示されている。