メインキャンパスが東京・渋谷の一等地にあり、受験生からの人気も高い青山学院大学。しかし、その青山学院大の志願者が今年、前年比30%以上も激減した。いったい何が起こっているのだろうか。大学に聞いてみた。
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「もともと志願者が減ることはある程度は想定していたが、コロナ禍により想定以上の減少であった」
こう話すのは青山学院大の鈴木博貴入試課長だ。今年行われた入試の志願者数は4万123人で、前年比69・4%。昨年よりも1万8千人近く減ったのだ。学部ごとで見ると、2019年に新設されたコミュニティ人間科学部が37・1%と減りが大きく、人気の経営学部や国際政治経済学部でもそれぞれ49・8%、50・1%と前年の半分にまで落ち込んでいる。いったい何があったのか。
そもそも今年は、私立大全体で志願者が減ったということが背景にある。18歳人口の減少に加え、センター試験に代わって始まった大学入学共通テストを嫌って浪人生も大きく減っていた。そのうえ、冬の入試シーズンに新型コロナウイルスの感染が拡大することを懸念して、総合型選抜・学校推薦型選抜(旧AO・推薦入試)など年内に実施される入試で合格を決めた受験生も多かった。都市部の大学では、コロナの感染拡大を受けて地方受験生が出願を控えたことも理由とみられている。
河合塾によると、全国の主要107私大の志願者数は前年比88%。とはいえ、ライバル大学の減少幅はここまで大きくない。上智大は前年比100%、明治大は97%、東京理科大は87%だった。
なぜ青山学院大だけ激減したのか。鈴木入試課長は「共通テストと独自試験を併用する入試に変更したことが影響した」とみる。
これまで青山学院大の一般入試では、「共通テスト利用」「全学部日程」「個別学部日程」の3つがあった。前者2つの入試に比べて個別学部日程は募集人数も多く、多くの志望者がこの試験を受けていた。
しかし、今年実施された入試から個別学部日程が、共通テストと学部独自の試験の併用型になった。まず共通テストで英語、国語、地歴または数学の学力が問われ、さらに学部の独自試験で複数教科の内容が問われる総合問題や、論述が実施されるようになった。