公立のランキングも見よう。各地の伝統校が並ぶ中、現役合格者数、現役合格率ともにトップだったのは札幌南(北海道)だ。それぞれ34人、11%だった。
3月まで進路部長を務めた高桑知哉さんはこう語る。
「伝統的に医学部に入れる学校と見られています」
入学当初は、1学年約300人のうち約100人も医学部志望に手を挙げることがある。3年になると、50~60人程度が志願するという。
高い合格実績について高桑前進路部長は言う。
「学問研究の成果が大きいです」
学問研究とは、授業の中で自分の関心のある学問を調べて発表すること。大学でどんな研究がされているのか知るとともに、自分の興味関心に気づくきっかけになる。それが高い進学意欲につながるという。
3年春には医学部セミナーを開き、教員が各大学の入試の特徴を紹介する。また、医学部受験に必要な面接や小論文を指導するなど、志望者を支援する態勢を整える。
国立のランキングでは、東大合格者数ランキング上位校として知られる筑波大附駒場(東京)が23人で最多。続いたのが広島大附の19人で、現役合格率も10%と高い。
砂原徹副校長は言う。
「医学部を目指す生徒は昔から一定数いましたが、最近は合格率が上がってきました」
要因として見るのが、課題研究の取り組みだ。
文部科学省からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受け、科学教育に力を入れている。1年時から研究の基礎を学び、3年秋には論文を冊子にまとめる。
研究テーマは「スープを飲むとき急に冷たく感じるのは本当か?」「ゼブラフィッシュにおける音と学習能力の関係について」など独特なものが多い。身近な疑問からテーマを設定している。砂原副校長は言う。
「医学部に合格するために特別な指導をしているわけではありません。課題研究が学びの意欲につながり、受験結果に結びついたのでしょう」
新たに合格実績を上げている学校も紹介しよう。合格者16人で公立ランキング13位に入った日比谷(東京)だ。