「寮では勉強時間を安定して確保できます。特講は塾に通う必要がないレベルで充実していました。周りに医学部志望が多く切磋琢磨(せっさたくま)できました」
現役合格者45人で3位に入った桜蔭(東京)も現役合格率が20%と高い。国内最難関とされる東大理科三類(主に医学部)に今年は8人が合格した。全国で4番目に多い。
私立中高一貫の女子校で、「女子御三家」の一つと言われる有名進学校だ(他は女子学院と雙葉)。卒業生にはタレントの菊川怜さんや猪口邦子元少子化・男女共同参画相、元秘書への傷害と暴行の疑いで書類送検され、不起訴となった豊田真由子前衆院議員らがいる。
小林裕子教頭は言う。
「入学してくる段階で医学部志望者が多いです」
30年ほど前は半々の割合で文系と理系の志望者がいた。だが、今は理系の割合が増え、中でも医学部志望が多くなっている。
「多い年は高3生の3分の1が医学部志望です。仕事によっては結婚や出産でキャリアが断たれてしまうことがありますが、医師は再び働きやすい。そのため志望者が増えていると見ています」(小林教頭)
教育の特徴は特定の教科に特化せず、幅広に学ぶ点だ。2年時から文系、理系でそれぞれ選択科目を取るが、クラスは文系と理系で分けない。それが生徒の視野を狭めないことにつながり、受験科目が多い難関国立大に強い理由の一つとなる。
縦のつながりも強さの秘密だという。生徒は必ず部活動に所属するため、先輩の日々の努力や難関大に合格する姿を間近で見る。桜蔭はキャリア教育にも力を入れ、メディアや国家公務員、弁護士など各界で活躍する卒業生が寄稿した冊子を作ったり、講演会を実施したりする。小林教頭は言う。
「先輩たちの活躍を身近に見て、果敢に挑戦する生徒が多いです。自分たちの興味関心に従って、伸び伸びと学ぶ文化があります。勉強ができるからといって、足を引っ張るような雰囲気はないです。男子の目を気にしないのも良いと思います」