――搬送先の病院で死亡が確認されたと聞いたときは。
ショックは大きかったです。特にその場に立ち会わせていただいていたので、やはり安倍元総理の功績を考えて、あるいはこれから日本のためにもっとやっていただける方だと思っていましたので、こういう蛮行で命を落とされたのは、本人も悔しかったでしょうけれど、我々も残念で苦しい思いをしました。
――鎖骨下の動脈を損傷し、大量出血したことが原因だったという死因が発表されました。先生が現場で見られた状況をふまえて、いかがですか。
背後からとい聞いておりましたので、もっと大きな大動脈などが傷ついているということは思っていましたが、何かしら大きな血管、散弾銃のようなものであれば広範囲に損傷を受けますので、たとえば肝臓とか、そういうところにも損傷があって、あちこちから出血しているのかな、ということは考えていました。今死因を聞いて、納得できる部分もあります。
――これまでに、銃によるけがの治療経験はありますか。
銃はありません。自治医大出身で、へき地医療をしていましたので、いろんな事故には遭遇することはありましたが、銃はなかったと思います。
――救急車の到着後はクリニックでの診療に戻られたとのことですが、訃報をいつ聞きましたか。
患者さんの混雑が激しくて、夜8時か9時頃をまわっていたのですが、家内にどういう報道になっているか聞いたら、5時3分に亡くなったと聞きました。状況から判断すると、そのような結果になってしまったかと思いましたが、胸を締め付けられるような思いをしました。
(AERA編集部/福井しほ)
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