――撃たれたという情報は周りから。

後ろのほうから撃たれたということや、散弾銃、筒状のものといったいろんな会話が聞こえてきたので、参考にさせていただきましたが、目の前におられる安倍元総理の状況が尋常ではない状態ということはわかりましたので、なんとか早く救急車がきて、出血を止められるような医療機関にいち早く、一刻を争うと思いましたので、なんとか早く来てほしいと思いました。

あの状況では、現場でできることは限られています。うちのクリニックも近くにあるので、管を入れて呼吸をアシストすることも考えましたが、救急車というのはかなり迅速に来てくださるので、それを取りに行って準備する間に到着するのではないかとも考え、少しでも血流がよくなるように足を上げたりしながら、救急車の到着を待ちました。

――足を上げたというのは。

内臓損傷や血管損傷をすると当然脳にも血流がいかないでしょうし、足や手の血流を体の中央に送って、大事なところを少しでも。

――救急車はすぐきましたか。

そこが、実際の時間がどれくらいというのはわからないのですが、とにかく長くは感じました。

――声かけを皆さんがされていた。

周りや遠くから「安倍さん頑張って」という声もありましたし、安倍元総理のスタッフの方ですかね、同行されている方も声掛けをされていました。

――演説中に銃で撃たれるということについては、どう思われますか。

昨日からニュースでも報じられている通り、世界のリーダーたちからも尊敬されている方ですし、実際に日本の経済を立て直していただいた方です。我々医療ができることも、日本国をいい方向に導いていただいているからこそ、我々も安心して病気に立ち向かえると私は思っています。その方を、まだまだ日本国をよくしようと高い志を持っておられたと思うので、志半ばでああいう蛮行のために命を亡くされたことは、救命に携わっていて、非常に心が痛む思いでした。医学的にはわかっていたとしても、感情的には何か奇跡が起こってくれ、という一心でその場にいました。心の中では祈るような思いでした。

医師というのは、人の命を救うことが使命ですから、どういう方であれ、まず状況を正確に把握して、最善策を立て、それを早く実行するというのが人の命を救うのに一番大事なことです。それがなかなかできない状態にあるというのは、非常にもどかしかったですし、情けないという感じもしましたし、色んなものがあれば色んなことができるのに、という思いがありました。

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こういう蛮行で命を落とされたのは…