■オープン時から大行列!の正体は…
池袋駅から一駅の要町にある「中華そば しながわ」。池袋エリアであっさり系の醤油ラーメンで勝負する本格派で、「ミシュランガイド東京」に掲載歴のある名店だ。
店主の品川隆一郎さん(41)は秋田県の羽後町生まれ。高校卒業まで秋田で過ごし、地元の人気店「大元」「長寿軒」に週3~4回は通うほどのラーメン好きだった。羽後町は日本そばが有名な街だが、そば屋でもラーメンを食べ、地元のスキー場に行っても食堂でラーメンを食べていたという。
大学に入学してからは、ホテルや工事現場などで数々のアルバイトを経験した。サラリーマンになる将来に疑問を感じ、大学を中退。その後、飲食の道に進む。イタリアンレストランで働いた後、バーテンダーのアルバイトを始める。
バーテンダーとして働いていたある日、バーを経営する会社が開業したラーメン店のヘルプに入ることになった。この店が池袋の「七福神」で、ここで品川さんのラーメンの道が開ける。
「純粋に楽しいなと感じたんです。自分で打った麺を自分で茹でて、お客さんに出す。それだけで感動しました。社員になってからは、1日20時間働いても平気でした。アドレナリンが出ていましたね」(品川さん)
20歳の時、バーから「七福神」に正式に異動し、その後社員に採用される。3年間働き、最後は高田馬場店の店長を務めていた。品川さんはこのまま独立しようと考え、退社した。
退社後初めて自由な時間を手に入れた品川さんは、ラーメン本を買い、人気店の食べ歩きを始めた。そこで、カルチャーショックを受ける。
「今まで食べたことのないラーメンばかりで、驚きました。独立の前にもう少し勉強したほうがいいと思い、バイク便の仕事をしながら食べ歩きを続けたんです」(品川さん)
その中で、自分が目指すべき店に出会った。中野区にある「地雷源」である。当時25歳だった品川さんは「地雷源」の門を叩いたが、またもや衝撃を受ける。店主の鯉谷剛至さんと少し話をしただけで、ラーメンが大変厳しい世界であることが伝わってきたのだ。品川さんは言う。
「食材や調味料の分量も1gレベルで徹底され、自分が作ってきたラーメンとは比べ物にならないこだわりでした。盛り付けも美しく繊細で、トップのラーメン店はこうなんだ!と身をもって知らされたんです」