国内外の人々を惹きつけてやまない京都。その四季折々の魅力を、京都在住の人気イラストレーター・ナカムラユキさんに、古都のエスプリをまとったプティ・タ・プティのテキスタイルを織り交ぜながら1年を通してナビゲートいただきます。愛らしくも奥深い京こものやおやつをおともに、その時期ならではの美景を愛でる。そんなとっておきの京都暮らし気分をお楽しみください。
* * *
■日本最古の公立総合植物園で秋のピクニック
11月に入り樹々の葉は一層彩りを増し、北の方角の山々から南へと徐々に降りてくるように、様々な木が黄色やオレンジ、そして深紅へと色づきはじめます。これから12月中旬頃まで、ゆっくりと秋を堪能しながら、お散歩を楽しめる最も心地良い時期です。この季節、蒼く晴れ渡る空を眺めていると、のんびり外でピクニックをしたら気持ちいいだろうなあ……と思うことがあります。思い立った時に、気軽に一人だけでもそんな気分を味わいたい時におすすめなのが、「京都府立植物園」です。
1924(大正13)年に開園した日本最古の公立総合植物園。総面積は甲子園球場約6個分の広さ、植物の数は約1万2000種類と言われています。秋には、カエデやフウなど様々な木々の紅葉を楽しむことが出来るのです。子供のように駆け回り、大の字になって寝転べる大芝生地、紅葉の彩りを映し出す鏡のような池、大木がそびえる森の中に響く鳥の声……自然の中に浸り散策していると、時を忘れ、心から癒されます。今回は、大人から子供まで楽しめる「京都府立植物園」内「きのこ文庫」での秋のピクニックへ、ご案内します。
■まるで「不思議の国のアリス」の気分 フォトジェニックな「きのこ文庫」
植物園正門から入ると左手に見えてくる子供の遊び場「未来くん広場」の奥に、気軽なピクニックにとっておきの場所があります。樹々の間からにょきにょきと見えてくるのは巨大なきのこのオブジェ。「こども文庫きのこの家」通称「きのこ文庫」と呼ばれ、親しまれているものです。赤やオレンジのきのこの扉を開けると、そこには、植物や動物、生き物に関する児童書や絵本、図鑑など約3000冊の本がぎっしりと詰まっています。きのこの周りにはテーブルとベンチがあり、お昼時になると人が集まり、お弁当を広げたり、お茶を楽しんだりしています。切り株に腰掛けて本を読んだり、ベンチに座ってぼんやり樹々を眺めたり、様々な過ごし方を楽しめる場所です。