
■快適な読書時間へ変えてくれる本のお供 三角まくら
面白い小説を読み始めると止まらなくなり、夜中から明け方にかけて読み切って、読書疲れを起こすことも度々ありました。それからは、一冊に集中し過ぎてしまわないように、いろんなジャンルを3冊から5冊、平行して読むようにしています。読書人生50年、そう言えばこの所椅子に座って長時間読書することが少々辛くなってきました。腰よりも首に負担がかかっていると感じるのです。そんな時にプラッツ店主が教えてくれたのが「三角まくら」です。寝転んで頭を預ければ、肩までしっかりと支えてくれるので、長時間の読書がとても心地良く首が疲れないのです。中身は二層構造になっているので、うつ伏せで読みたい時、胸の下で抱え込むようにしてもずれることがなく、しっかりとした安定感があります。嵯峨嵐山にある明治時代創業の「プラッツ」は、世界遺産・天龍寺の御用達であり、全国の有名旅館や料亭の京座布団も手掛けています。熟練の確かな職人の技が、長時間の読書を快適な時間へと変えてくれるのです。

■厄除け、暑気を払う氷の形に見立てた水無月
1年のちょうど半分にあたる6月30日は夏越し祓(なごしのはらえ)の日。京都の各神社では、半年間の邪気や穢(けがれ)を祓い、無病息災を祈願し、気持ちを新たにする神事「茅の輪くぐり」が行われます。そして、この日食べる習慣となっている和菓子が「水無月」です。6月になると京の町のあちこちの和菓子店に「水無月」の文字が貼り出され、京都人にとってはとても馴染み深い夏の和菓子なのです。古来、宮中では氷室という氷の貯蔵庫を利用し、氷を口にして暑気を払っていましたが、庶民にとっては手の届かないものでした。そこで氷の形に見立てた和菓子を作り、厄除けを行なったと言われています。深泥池(みどろがいけ)のほど近く、1831(天保2)年創業「長久堂」の水無月は、歯切れ良く柔らかで、上品な甘さの外郎の上に、ぎっしりと隙間なく丹波産大納言が敷き詰められています。切り口は氷の断片を思わす程美しく、表面の透明な寒天が、まるで薄氷が張っているかのように涼やかなのです。