桜花爛漫の飛鳥山を背景に走る都電荒川線のレトロ電車。飛鳥山~王子駅前(撮影/諸河久:2018年3月30日)
桜花爛漫の飛鳥山を背景に走る都電荒川線のレトロ電車。飛鳥山~王子駅前(撮影/諸河久:2018年3月30日)

 半世紀前の一コマからこんなことまで連想してみたが、はたと困ったことに旅館の屋号が判明しないのだ。南東側から撮った絵柄に写る玄関の左上に看板が認められるが「……館」の文字しか読めない。

 気になる屋号を解明するため「北区飛鳥山博物館」を訪ね、撮影当時の住宅地図を閲覧することを思いついた。訪問時に学芸員の久保埜さんが収蔵庫から持参されたのが、昭和45(1970)年版の北区住宅地図だった。そこにははっきりと「飛竜旅館」の記載があった。一枚の写真がもたらした謎が氷解した一瞬だった。

■撮影:1963年4月3日

◯諸河 久(もろかわ・ひさし)
1947年生まれ。東京都出身。写真家。日本大学経済学部、東京写真専門学院(現・東京ビジュアルアーツ)卒業。鉄道雑誌のスタッフを経てフリーカメラマンに。「諸河 久フォト・オフィス」を主宰。公益社団法人「日本写真家協会」会員、「桜門鉄遊会」代表幹事。著書に「都電の消えた街」(大正出版)「モノクロームの東京都電」(イカロス出版)などがあり、2018年12月に「モノクロームの私鉄原風景」(交通新聞社)を上梓した。

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