――今回の映画は東さんの「トライ」ですか。
LGBTsの映画ってお客さんがあまり入らないそうです。自分とは無関係だと思うのと、観に行くことでセクシャリティを知られてしまうという不安もあるのだと思います。映画がやっとできたと思ったら、次は配給の壁がありました。なので、ポレポレ東中野さんが「うちでやりましょう」と言ってくれたことがとても嬉しかったですね。上映するにあたって、映画冒頭のセクシャリティやジェンダーを説明するアニメーションは取るように依頼されました。「これは優等生すぎて、啓発になっている。ポレポレに来るお客さんには必要ない」と。フライヤーも違うものを作るように言われて、色んなことを教えてもらいました。
――ミニシアターの中でもドキュメンタリーや新人作家の作品を積極的に上映する映画館ですね。
私も大好きな映画館です。実は、上映会が一度決まったけれど、立ち消えてしまった場所もあります。「この地域はLGBTsへの理解が深くないので、まだ早すぎる」と。コントのような話ですが、本当にあるんです。ある議員さんはこの映画を発信しようとしたけれど、「次の選挙で票が減るから今はやめて」と賛同者の方に言われたそうです。当選すればきっとLGBTsのことに取り組んでくださるだろうから、「まずは力を持つことを優先してください!」と伝えました。「けもの道でも道があるなら進みましょう」「道がなければ作りましょう」という気持ちです。本当に、色んなことが見えてきて面白いですよ。まだまだここからですね。
(聞き手/AERA dot.編集部・福井しほ)
■私はワタシ ~over the rainbow~
2018年12月22日~28日までポレポレ東中野(東京都・中野区)にて上映