きむら・ゆきひこ/1962年生まれ。サッカーを通じた民族問題を取材。来年1月に『コソボ 苦闘する親米国家』を上梓予定(撮影/伊ケ崎忍)

 人権問題を抱えるカタールでの開催も物議を醸しました。W杯の歴史を振り返ると、1978年のアルゼンチン大会は独裁政権が市民を弾圧している中で開催されましたが、当時は声を上げる選手はオランダのヨハン・クライフ(出場を辞退)くらいでした。しかし、今大会は開催地や自国の人権状況に対してドイツやイランの選手たちが、抗議のアピールをしました。カタールの状況についてはFIFAもわかっていたはずで、選定責任を問うべきです。

 日本は今大会、ドイツとスペインを破り、これまでで一番中身のある16強という結果を残して盛り上がりました。一方で、日本サッカー協会の田嶋幸三会長は「サッカー以外のことを話題にするのは好ましくない」と発言して、国際NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチが「人権問題を傍観するのか」と声明を出しました。

 その国と文化に対するリスペクトを持ちながら、どこまでを人類普遍のテーマとして改善を訴えていくのか。サッカーという多様性を享受するスポーツの祭典であるW杯を機に考えてみてほしいです。

(編集部・古田真梨子)

AERA 2022年12月26日号

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