はまぐち・ひろゆき/1948年生まれ。電通を経て広島経済大学経営学部スポーツ経営学科教授。著書に『日本は、サッカーの国になれたか。電通の格闘。』(photo 本人提供)
はまぐち・ひろゆき/1948年生まれ。電通を経て広島経済大学経営学部スポーツ経営学科教授。著書に『日本は、サッカーの国になれたか。電通の格闘。』(photo 本人提供)

 ただこの先、放映権の購入がネットにシフトし、DAZNのような有料放送が中心になるとすれば、視聴できる人とできない人との間で分断が進むことになる。環境によってW杯に接することのできない子どもたちが出てくれば、サッカー競技の将来的な発展にも悪影響を及ぼします。

 私は86年メキシコ大会以来、W杯は現地で見ています。「現代の世界一のお祭り」がW杯であり、そのパワーは世界が直面するさまざまな矛盾や醜さ、戦争をも止める力があると考えます。そんなお祭りを多くの人が享受するのはとても大事なこと。公共放送が盛んな欧州では五輪やW杯など重要なスポーツ中継は無料で見られるべきだとする「ユニバーサルアクセス権」という考えが社会に浸透しています。日本でもその意識を高め、「すべての人が見られるW杯に」を真剣に考える段階にきていると思います。

AERA 2022年12月26日号

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