ラジオ体操などで少し身体を伸ばし、天気が良ければ庭の草木花に水をやり、朝の散歩をする。7時に朝食をとり、病院など、出かける用があれば出かけますが、それでも午前中でほとんどやることがなくなってしまう。昼食をとって午後になると、テレビにすがるようになります。

 2015年の国民生活時間調査(NHK放送文化研究所)を見ても、テレビの視聴時間は全体としては減少傾向にあるものの、70歳以上に限ると、平日で男性は5時間16分、日曜日は6時間17分と視聴時間が長い(ちなみに女性は平日5時間29分、日曜日は5時間48分)。

 テレビだけが人生という構図がまだ続いているわけです。

 こうした年代の男性はどのように呼ばれているかご存じでしょうか?「粗大ごみ」、しかも燃えない「粗大不燃ごみ」。それだけではありません。「ワシも族」「濡れ落ち葉」とも。

 テレビを観ながらゴロっと横になっている。奥さんが買い物に行くと言い出すと、「わしも」と言って立ち上がる。だから「ワシも族」。そして奥さんの後をついて歩く姿が、足にまとわりつく落ち葉のようなので、「濡れ落ち葉」。散々な言われようです。

 お互い、こうはなりたくないものです。

●家事をゲームと考えると面白くなる

 だからこそ趣味を持ち、また定年後も「働く」場が必要なのですが、今回はその話ではなく、家にいる、その居方の話です。

 まず大切なのが家事を分担することです。家事というのは無限にあって、大変な面もありますが、やってみると意外に面白いし、想像力を働かせて、工夫をこらすべき場面も少なくありません。やってみて損はないことです。

「家事はゲーム」というイメージが大切です。決して家事を“労働”と捉えてはいけません。「労働」と言えるようになる、すなわち自分の活動がちゃんと家の中で価値を生むようになるまでには、むしろ結構時間がかかるものだと考えてください。

 最初のうちは「動けば動くほど、邪魔になる」ぐらいの感覚でいることが賢明です。実際、たかが家事労働などとなめてかかると、かなり痛い目に遭うものです。

 そうして、これをこれまで奥さんが1人でやっていたのだということを知ることが大事なのです。

 そうはいっても何も気張る必要はありません。やれることからやるようにすればいいのです。多くの男性にとって一番やりやすい家事は掃除です。もちろん掃除にもそれぞれコツと奥さんが作り上げてきたその家の“デファクトスタンダード(標準的方法論)”がありますから、そこは学ばなければいけません。

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朝ご飯の得点は意外と高い!!