原発に頼らずに、バイオエネルギーにシフトしていけないのか、と言えば、「わかってない」と言われる。そんなの無理だ、原発がなければ今の生活は成り立たない、と一蹴される。でも、望むということがどうしてすぐ否定されてしまうのか。そんな冷たい世の中に、いつからなったのか。たぶん、冷たいんじゃなくて、そういう意見が出ると困る人がいるからなんだと思う。
アイスランドに行った時、電力供給率は120%だと市長さんから聞いた。20%は輸出していると言う。地熱と水力でそうなっていて、地理的条件が日本と似ているから日本もできるはずだと言っていた。ちなみにアイスランドのその技術は日本企業の技術だそうだ。できるのだ。
なんで日本ができないのか。利権や何かでしないだけなんだと思わざるを得ない。神宮外苑だって、木を切ってどうするのか。それが本当に必要かどうかは議論されたのか。森を愛する市民、子どもたちをきちんと納得させたのか。この国は議論も、説明も、納得もなく、いろんなことが進んでいく。それにもう傷つきすぎて絶望し、まんまと声をあげなくなった私がいます。
泉さんだけにお願いしちゃいけないんだと思うけれど、今度は日本を、温かいものにお願いします。日本という国を、ほがらかで、風通しのいい国に戻してください。
泉さんにはできるはず。だって家族内でも投票制度が確立しているんだから。家族という土台から民主主義ができている。それから、泉さんは「四面楚歌」ということばが好きと言っていたので、泉さんの立場は私どもはもう心配しません!(笑)
大宮エリー(おおみや・えりー)/1975年、大阪府出身。99年、東京大学薬学部卒業。脚本家、演出家などを経て画家として活躍。クリエイティブのオンライン学校「エリー学園」「こどもエリー学園」を主宰。瀬戸内国際芸術祭(岡山県・犬島)で「光と内省のフラワーベンチ」を展示
泉房穂(いずみ・ふさほ)/1963年、兵庫県明石市出身。兵庫県立明石西高校卒。87年、東京大学教育学部卒。NHKディレクター、石井紘基氏の秘書などを経て、弁護士に。2003年、衆院議員初当選。社会福祉士の資格取得。11年から明石市長。23年4月末で政治家引退
※AERA 2023年5月1-8日合併号