●好かれていないと部下は動かない
さらに、コミュニケーション能力も大切です。
コミュニケーションには、「意味」と「意識」の2つの要素があります。例えば「○○をしてほしい」というのは、自分がしてほしいことの意味を伝えています。しかし相手が意味を理解したからといって、その通りに動いてくれるとは限りません。
頭が良くて仕事ができる人はとかく「理屈で人は動く」と考えがちですが、実は人は「意識」を共有できる人からの指示でなければ本気では動きません。
誰にでも経験があると思いますが、好きな人に言われたことは喜んでやりますが、同じことでも嫌いな人に言われたことはやりたくないし、やったとしてもどこかおざなりになりがちです。
そこで経営者は、昇進させようと考えている人物が上司となった時、部下となる社員が「この人が好きだから働いてやろう」という気になるのかどうかを見極めなければなりません。
しかし、その際に「甘さ」と「優しさ」は違うということを十分に認識していなければなりません。
「甘さ」は「こんなことを言うとかわいそう」だとか、「厳しいことを言うと自分は恨まれるのではないか」などという考えです。「優しさ」とは、中長期的に皆を幸せにすることです。そのためには、ときに厳しいことも言わなければなりません。
一般的に部下に甘い上司はうるさいことを言わないので好かれますが、その分、部下の仕事に対する姿勢も甘くなり、パフォーマンスは期待できないでしょう。部下も育ちません。昇進させる人物、を部下の人気投票のような感じで選ぶべきではありません。