広島・菊池涼介(日刊スポーツ)
広島・菊池涼介(日刊スポーツ)

 日米通算で1816安打を積み上げてきた秋山は、2000安打達成に特別な思いがある。メジャーでプレーして22年のシーズン途中に日本球界復帰した際、古巣の西武など複数球団が獲得オファーを出したが、広島の鈴木清明球団本部長から「2000安打を達成してほしい」と伝えられたことが、入団を決断する大きな理由となった。名球会入りした球界OBはこう語る。

「秋山なら、スタメンで試合に出続ければ2年以内に達成できるでしょう。ただ、ベンチスタートで代打要員になると安打のペースが一気に落ちます。37歳という年齢を考えると、早い段階でレギュラーを奪回しないと記録達成が難しくなる」

「戦力になれるように」と繰り返した菊池

 一方、プロ14年目の菊池は守備の名手として知られるが、打撃でも16年に最多安打(181本)のタイトルを獲得するなど通算1758安打を積み上げてきた。

「昨年、ゴールデングラブ賞を初受賞した遊撃の矢野雅哉と組む二遊間コンビは球界屈指の守備力ですが、2人は打撃に物足りなさを感じる。打線全体で得点力不足が深刻なことも影響し、不動のコンビとは言えない状況です。最近の試合では小園が二塁や遊撃で起用される機会が増えている。遊撃、三塁と比べて二塁は併殺打を処理する時など体の使い方が逆になるので難しさがありますが、小園は昨年11月のプレミア12で侍ジャパンに選ばれた際に二塁を守り、今年の春季キャンプでも二塁の守備に取り組んでいました。実際にシーズンでもソツなくこなしています。菊池がレギュラーを譲らないためには打撃でもアピールが必要になります」(スポーツ紙デスク)

 今季は74試合出場で打率.237、58安打、2本塁打、20打点。14犠打はリーグ2位と技術が光るが、菊池本人は「戦力」になっていないという思いがあるのだろう。7月6日の巨人戦で、1点差を追いかける9回1死満塁で大勢から決勝点となる逆転2点タイムリーを放つと、試合後のヒーローインタビューで、「戦力になっていないんで、なんとか守備だけはというふうに思って立ってますけど、今日はなんとか1つ戦力になれたかなと思います」と「戦力」という言葉を強調。最後にも「もっと戦力になれるように練習します」と繰り返した。

 他球団のスコアラーは「秋山と菊池がスタメンに名を連ねていたほうが嫌ですよ。2人は野球を知っているので、試合の流れを変えるプレーが多いし、数字に表れない貢献度が非常に高い。大きな故障を抱えているわけではなく、体は元気なのでまだまだレギュラーで活躍するでしょう」と話す。

 広島は7月に入って7連敗を喫するなど失速し、中日に抜かれて5位に転落した。優勝争いを繰り広げていた昨年9月の大失速は二度と味わいたくない。CS圏にはい上がるため、秋山、菊池という両ベテランの力が必要な場面がきっとあるはずだ。

(ライター・今川秀悟)

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