広島・秋山翔吾
広島・秋山翔吾
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 球界を代表する活躍をしてきた広島のベテラン2人が、若返りを図るチームの中で正念場を迎えている。西武時代に作ったシーズン216安打の日本記録を持つ秋山翔吾(37)、10年連続ゴールデングラブ賞を受賞した守備の名手菊池涼介(35)。名球会の入会規定である通算2000安打まで秋山は184本、菊池は242本となっているが、数年先を見据えたチームの方針で若手に出場機会を奪われつつあり、楽観視はできない。(データは7月21日終了時)

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「秋山、菊池は力が落ちたとは思いませんが、優勝から遠ざかるシーズンが続くと若手を育てながら勝つ方向にシフトしていく。外野ではドラフト1位入団で伸び悩んでいた中村奨成(26)が今年になって頭角を現し、大盛穂(28)も俊足を武器に貢献度が高い。秋山は2人と中堅で定位置を争う立場になっている。菊池は二塁手として高い守備能力が健在ですが、最近は打撃がいい小園海斗(25)が二塁で先発起用されている。打撃でも貢献しなければポジションを確約される立場でなくなっています」(広島を取材するスポーツ紙記者)

2000安打のために広島入りした秋山

 秋山は昨年から若手との競争にさらされていた。昨年の開幕戦でベンチスタート。その後も左翼で起用されることが多く、「1番・中堅」で固定されるようになったのは4月下旬からだった。それでも昨年はチームトップの打率.289、158安打をマーク。健在ぶりをアピールした。

 今年は開幕の阪神との3連戦に5番という新たな役割で起用されたが、このカードで走塁中に右足首を痛め1カ月以上の戦線離脱。5月に復帰して定位置奪回を目指したが、6月12日のロッテ戦で同点の7回、左翼守備で打球の目測を誤って後逸した。記録は三塁打だったが、このミスが決勝点につながった。するとこの試合以後、先発機会が激減している。

 コンディション調整が難しい状況が続くが、約1カ月ぶりのスタメン出場となった7月10日の阪神戦では、同点の6回2死満塁の好機で打席が回ると、勝ち越しの2点中前タイムリーを放った。逆転されて3点差を追いかける8回1死一、二塁でも中前打を放ち、今季6度目のマルチ安打を記録した。今年は37試合出場だが代打の出番が多く、86打数で22安打、打率.256にとどまっている。

「秋山は4打席立って安打を重ねるタイプです。代打の役回りは非常に難しい。プロフェッショナルだなと感じるのが、試合になかなか出られない状況でも他の選手に気づいたことを助言するなど、チームを献身的にサポートしていることです。今は苦しい状況ですが、安打を打つ技術は球界屈指ですし、チームにまだまだ不可欠な存在ですよ」(広島の民放テレビ関係者)

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