しかも生命保険文化センター「2021年度生命保険に関する全国実態調査」では、介護期間は平均で61・1か月と5年以上となり、4年以上介護する(した)人の割合は半数を超えていた。健康寿命と平均寿命の差を単純に計算すると、男性が8年以上、女性では12年以上もあるので、介護期間が10年以上あるケースも少なくないだろう。
終活がブームとなり、シニアのたしなみに
この15年ほど、終活がブームだ。終活とは、人生の終わりのための活動の略語で、2010年「ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされ、2年後の2012年には「ユーキャン新語・流行語大賞」トップ10入りを果たした。正確には、ブームというより、もはや、終活がシニアのたしなみとなったと言えるかもしれない。「何歳から終活をはじめるべきですか」という質問を私自身、よくされるようになった。
しかし少なくとも30年前までは、自分の死に方や死後について生前に考えておこうという人は少なかった。それらは、残される家族が考えることがらだったからだ。そもそも、昨今のように選択肢がたくさんあるわけではなく、例えば、どんなお葬式をしようかなどと生前に考えなくても、どんな人が亡くなっても、地域の人たちが手伝いにきて、同じようなお葬式が執りおこなわれることが自明だった。

※朝日選書『〈ひとり死〉時代の死生観 「一人称の死」とどう向き合うか』(朝日新聞出版)から一部抜粋
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