
1年10カ月ぶりに投手復帰を果たしたロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手。先発として1、2回だけ投げ、その後は中継ぎ投手が継投する「オープナー」として再始動した。待望の大谷選手の「二刀流」復活について、在米ジャーナリストはどう見るのか。AERA 2025年7月21日号より。
【写真】手術前と変わらぬ球威、切れ味のある変化球を見せつける
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昨年、大谷が達成した史上初の「50本塁打・50盗塁」はもちろん快挙である。しかし、それ以上に価値のある偉業は、21年から23年にかけての二刀流での活躍である。
そして今、大谷はドジャースのユニフォームを着ている。人気と強さを兼ね備えた球団でプレーすることで、二刀流をしていないにもかかわらず、エンゼルス時代以上に話題を集め、評価も高まった。これで普段野球を見ない人も注目するプレーオフという大舞台で二刀流で活躍できれば、大谷のアメリカでのステータスは一段と上がる。
「ポストシーズン進出は当たり前」「優勝以外は失敗」とすら見なされるドジャースにとっても、大谷の二刀流は大きな武器となる。投手・大谷に頼らずともポストシーズンにはいける。
しかし、短期決戦のポストシーズンに突入してからは、大谷のように打者を圧倒できる実力を持った投手がいるかが優勝の鍵を握る。
そのためには、一気に投球回数を増やすのではなく、大谷が10月に最高の状態で投げられることが何より大切だ。対戦相手に慣れられないよう、あえて登板数を絞る可能性すらある。未知の相手ほど、打者は対応に苦しむものだ。
懸念がないわけではない。登板翌日の打撃成績が下がる傾向があるのでは、という声もある。現時点ではデータが少なく結論を出すには早いが、打撃不振が続くようであれば、起用法を見直す必要も出てくるだろう。