補強ポイントとして挙げられるのがリリーフ投手だ。先発は伊藤大海、北山亘基、山崎福也、金村尚真、加藤貴之と実績のある投手が5人揃い、さらに若手の達孝太、細野晴希も成長を見せている。しかしリリーフは抑えの田中正義はある程度安定しているものの、それに繋ぐ中継ぎ陣は決して盤石ではなく、勝ちパターンは確立されているとは言い難い。特に左の中継ぎは大ベテランの宮西尚生にまだまだ頼っている状況であり、かつての最優秀中継ぎ投手である堀瑞輝も一軍では結果を残せていないなどかなり手薄な印象だ。

 新庄監督もこれまで度々トレードの可能性について言及しており、野手については層が厚くなっているだけに、ある程度力のある野手を交換要員にしてリリーフ強化を図るという選択肢もありそうだ。

 パ・リーグでもう1球団動きがありそうなのがソフトバンクだ。巨人のところでも触れたように、リチャードを交換要員にして秋広を獲得するなど既に動きを見せているが、優勝を狙うためには戦力的に足りない部分は多いように見える。打線に関しては山川穂高が二軍調整を経て一軍に復帰していきなりホームランを放ち、ここから故障者が戻ってくればある程度の形はできそうだが、一方の投手は抑えのオスナ、セットアッパーのヘルナンデスの外国人リリーフが揃って状態が上がっていないのが気になるところだ。

 現時点での救援防御率は決して悪くないものの、ここから夏場以降に接戦を多くものにするためには、ブルペン陣の強化は重要になってくるのではないだろうか。支配下の残り枠数はあと2と多くはないものの、育成からの引き上げも含めて、補強に動く可能性は高いだろう。

 緊急補強はどうしても付け焼刃的な印象も強く、劇的な効果を生むケースもそれほど多くはないが、最後までチーム全体に戦う意思を見せるという意味合いも強いはずだ。果たして他にも動く球団は出てくるのか。7月末の補強可能期間終了まで各球団の動向に引き続き注目してもらいたい。

(文・西尾典文)

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