占い師、作家 しいたけ.
占い師、作家 しいたけ.
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 AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。

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Q:70歳を超えました。私は孤独のままなのでしょうか? 旧友はいます。ただ遠くに住んでいます。仕事をしていて、仕事は好きですが、それでも日々孤独です。今後はどうなるの? どう心を持てばいいの? みんなはどうしてるの? 教えてほしいです。(女性/会社員/71歳/うお座)

A:いわゆる孤独問題は、この先、社会の大きな課題になるような気がしています。どの時代にも孤独の問題はありましたが、昔はもっと地域との結びつきが強く、家族や友人以外にも人間関係がありました。例えば町内のお祭りがあったり、道端で井戸端会議があったり。

 僕は都内に住んでいますが、ゴミ捨て場で誰かと誰かが話しているみたいな井戸端会議というものをほとんど目撃したことがありません。

 顔を突き合わせて話をするのは、家族か友達だけ。仕事をしているうちは職場の人との付き合いがありますが、年をとり、仕事を辞めればなくなります。友達が遠くに住んでいる人もいるし、家族と疎遠になる人もいるし、「誰と一緒にいるか」が、どの人にとっても問題になる。

 僕としては、やっぱり「地域」に一つの答えがある気がしています。

 例えば僕は2週間に1回ぐらい近所の整体に通っています。そこでする「あそこの豚カツ屋さんおすすめですよ」みたいな話にとても癒やされるんですね。

 整体師さんは別に友達ではないけれど、こういう友達未満の「知り合い」のありがたさを感じます。もちろん仲良くなって飲みに行くのもいいけれど、そうじゃなくて「そこに行けば会えるけど、それ以外の場所では会わない」程度の、付かず離れずの関係がいいんですよね。友達になると大事になりすぎてしまうから。

 会釈するぐらいの知り合いを、自分の住んでいる地域にどれだけ増やしていけるか。習い事やボランティアなど、一歩踏み込むことをするのも知り合いが増えるきっかけになると思います。

 あまり人が好きじゃないし一人でいいやと思っている人も、「最近こんなことがあった」と自分のことを外に向けて喋るコミュニケーションは、たまには必要です。言わなくてもわかってくれる相手だけと過ごしていると、どこかコミュニケーションが不全になっていくというか、何も喋りたいことがなくなってしまうことがあります。

 うお座は、本人が思っている以上に、人と仲良くなる不思議な力を持つ人が多いです。ふわっとした空気をまとっているから、相手も話しかけやすいんでしょうね。その力をどんどん生かしてみてほしいです。

AERA 2025年7月7日号

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