
いまや、年間300万人を超える日本人が訪れる韓国。1、2を争う人気の旅行先だが、ソウル以外の地方都市に滞在する人は少ないのが実際のところだ。日韓国交正常化60周年という記念すべき年に当たる2025年、韓国を訪れるならぜひ、ソウル以外の地方都市へと足を延ばしてほしい。
実際、韓国観光公社が主催した報道向けの取材旅行の訪問都市は、新羅千年の古都であり今年の秋にAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議が開催される慶州(キョンジュ)と、エネルギッシュな港町・釜山(プサン)。旅のテーマはずばり、「古き良きものと、新しきものが織りなす韓国の魅力再発見」だ。
「&TRAVEL」編集部はこの4日間の取材旅行に参加し、歴史と文化が息づく古都の優雅さと、最先端のトレンドが交錯する大都市の躍動感を体感してきた。とっておきの最新情報を、2回に分けてお届けしたい。
まずは、桜に包まれた美しき千年の古都・慶州から。
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成田国際空港からLCCのジンエアーで、釜山のある金海(キムヘ)国際空港までは約2時間半。空港からはバスで釜山を経由し、韓国有数の桜の名所としても知られる慶州へ移動した。約1時間ほどで、車窓にはのどかな田園風景が広がり、ちょうど満開を迎えた桜並木が盛大に出迎えてくれた。
桜だけではない。慶州市副市長によれば、慶州は韓国の歴史が詰まった「天井のない博物館」。街中に古都の趣が漂う、日本でいえば京都のような存在で、修学旅行の学生たちも多く訪れる。ハイライトは、世界遺産にも登録されている仏国寺(プルグクサ)と石窟庵(ソックラム)だ。



仏国寺は、韓国を代表する寺院の一つ。石段を上り、境内に入ると美しい伽藍と静謐な空気に包まれ、歴史の深さに圧倒される。10ウォン硬貨にも描かれている国宝・多宝塔と釈迦塔にはたくさんの人が詣でていた。

仏国寺から少し足を延ばしたところにある石窟庵は、花崗岩を積み上げて作られた人工の石窟で、内部に安置された釈迦如来像はガラス越しとはいえ2メートルと離れていない至近距離にあり、その静謐な空間と佇まいには、言葉を忘れて見入ってしまう。この神秘的な空間は、ぜひ体感してほしい。