
大記録にあと一歩届かなかったが、交流戦で快投を見せたのが日本ハムの26歳右腕・北山亘基だ。
【写真】ドラフトでぎりぎりの指名を受け、会見で涙を見せた北山
先発登板した6月19日の巨人戦で、150キロを軽く超える直球と落差の鋭いフォークを軸にアウトを積み重ねた。ナックルカーブ、チェンジアップ、カットボールなど精度の高い変化球も投球にアクセントをつけ、巨人打線を手玉にとる。7回2死で泉口友汰にフルカウントから投じた直球が外れて四球となり、完全試合は消えたが、ノーヒットノーランは続く。8回は三者凡退に仕留め、9回も先頭のオコエ瑠偉を二飛に抑える。球場が異様な雰囲気に包まれたが、次打者の大城卓三に1ボール2ストライクから投じたフォークが少し浮いた。振り抜かれると打球は右翼席へ。大記録達成は叶わなかったが後続を抑えて、1安打1失点の完投勝利を飾った。122球の熱投にスタンドの巨人ファンからも拍手が注がれた。
北山は今季10試合登板で5勝2敗。防御率1.15はパ・リーグトップだ。5月14日のオリックス戦で3失点したが、その他の試合はすべて自責点1以下という抜群の安定感を誇る。
他球団のスコアラーは「直球が浮き上がるような軌道で捉えられない。初速と終速の球速差が少ないのでしょう。投球フォームに力感がないため、打者の体感速度ではさらに速く感じられる。以前は好不調の波が激しかったですが、今年は良い球を投げる再現性が高い。攻略が難しい投手の一人です」と厳しい表情を浮かべる。
新人の年に新庄監督が開幕投手に抜擢
北山は、若手が次々に台頭する新庄野球の申し子とも言える存在だ。新人の22年に新庄剛志監督が北山の直球を評価して、いきなり開幕投手に抜擢。その後は中継ぎや抑えを任され、チーム最多の55試合に登板して3勝5敗9セーブ16ホールド、防御率3.51をマークした。昨年は左足の疲労骨折で戦線離脱した時期があったが、主に先発で14試合に登板して5勝1敗1ホールド、防御率2.31をマークしている。
「新庄監督は入団時から北山の直球にほれ込んでいました。北山の一番の強みは『考える力』だと思います。勉強熱心で、色々なトレーニング方法を取り入れています。投手としてのタイプは違いますが、頭の回転が速く、数年先を見据えて進化を続けている姿勢は、ダルビッシュ有(パドレス)と重なります」(日本ハムを取材するスポーツ紙記者)