中国メーカーの妨害しか未来がない

 日本の自動車メーカーは、EVをつくれるようになったという段階だ。

 今は、EVのインフォテインメント、スマート化、自動運転技術、SDV化というような分野での競争にようやく参入しつつある。

 テスラは、完全自動(無人)運転タクシーによってEVでの競争を勝ち抜く戦略で、中国のような分野機能統合的な消費者囲い込み競争には参加していない。

 いろいろな戦略があり得るのだろうが、日本のメーカーには、そうした大きな戦略が見えない。

 このままでは、トヨタのEVは、中国では、ほぼ中国企業に全面的に頼った形で、欧州でも、結局は中国車との競争になるので、やはり中国企業に頼りながら、米国では、遅れた米国メーカーとの競争なので自前の技術で競争するということになるのだろう。

 日本では、本格展開を始めたBYDなどとの競争になるが、技術では勝てない分、流通でBYDの展開を妨害する作戦しかなさそうだ。国民の嫌中意識を政府の協力を得て最大限活用するかもしれない

 トヨタといえども純粋な日本企業としてやっていくのは難しくなってきたという現実。

 5年後くらいには、「実質的には中国製」のクルマを、日本メーカーは自社がつくったと称して売ることになるのではないか。

 何とも「悲しい予感」がする。

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