カラオケ、マッサージ、ドローンも操縦できる車
次の競争は、スマート化とインフォテインメント化とSDV化と自動運転技術だということになっている。
杭州のモーターショーでも、中国メーカーのEVの運転席に座った来場者は、夢中になって、運転席横あるいは前面に設置された、あるいはフロントガラスに映し出された画像を相手に熱心に話しかけ、さまざまな機能を試していた。これらのシステムでは、英語対応も標準なので、「I love you」と話しかけてなんと答えるかなどと遊んでいる人もいる。さまざまな映画の鑑賞が可能でカラオケができるというのも珍しくなくなった。もちろん、全土に5Gが普及しているからこそ提供できるものだ。
装備も、運転席だけでなく後部座席までマッサージ機能が付いているものや、冷蔵庫付きも普及してきた。屋根に格納されたドローンを車中から遠隔操作で飛ばして映像を撮れるものもある。
機能も装備もメーカーごと、モデルごとに違うから選ぶ方も大変だ。
運転アシスト機能は路上で試乗しないとわからないが、口コミで評価の情報や実際に使っている映像がネットに溢れ、それがクルマの評価に反映される。
こうした情報は、ようやく日本でも報じられるようになった。
しかし、今回中国を訪れたこととその前にファーウェイの関係者に取材をしたことで、私は、また新たな発見をした。
それは、これからの競争は、個人のライフスタイルの創造に「総合的に」どれだけ役立つかということが中心になるということだ。
「総合的に」というのは、EVの競争にとどまらないということを意味する。
クルマのスマホ化という概念がかなり前から言われ続けた。今やスマホは単なる通信手段にとどまらない。家電や家のセキュリティ、エンタメ、SNS、投資、交通機関の予約・利用、各種の商取引、金融決済、あらゆるものがスマホによって提供される。
スマホを制するものが消費者向けビジネスを制するとも言われた。
しかし、スマホは、毎年新しい機種が発表され、機種の乗り換えも頻繁に起きる。また、通信会社の乗り換えも数年ごとに起きる可能性がある。
そこで、多くの企業はスマホとEVを一体化させる時に、スマホ側とEV側どちらに主導権があるのかと考える。
スマホよりもEVの方が乗り換え頻度が低い。消費者のブランドへの忠誠度でも、スマホよりも自動車の方が高い。
つまり、EVで消費者を囲い込む方が優位に立てる。