本来なら起用すべき選手ではないのかもしれない。しかしチーム事情もあるのか、高津監督は山田を起用し続ける。チームが勝てないのと比例して、采配批判の声も膨れ上がる。

「山田もそうだが、不調が続く捕手・中村悠平もスタメン起用される機会が多く疑問の声が上がっている。リーグ連覇を果たした時の賞賛からは完全に掌返し。ネット上には連日連夜、辛辣な言葉が飛び交っている」(スポーツ新聞野球担当)

 高津監督が周囲からの批判、時には誹謗中傷を浴びながらも山田に固執し続けるのは何故なのだろうか?

「高津監督はチーム低迷に責任を感じ、フロントに頭を下げ今季も指揮を執ることになったと聞く。チームは若手移行への過渡期。近未来の強豪球団化へ向け、山田たちが苦労しながらもプレーを続ける姿を財産として残したいのではないか」(ヤクルトOB)

 2020年からの高津政権は6年目を迎えた。2021-22年にリーグ優勝(21年は日本一)を果たしたが、その後はBクラスが続く。昨年限りで退任が既定路線だった中、チームの未来のために山田をはじめとする栄光時代を知る選手らと「泥を被る覚悟」のようだ。

「山田は7月で33歳を迎えるが、『まだまだ老け込む年ではない』と信じているのもあるはず。天才型と言われ感覚でプレーしてきた選手だけに、発想や方法の転換で新たな扉を開けるかもしれない。素晴らしい選手なのは間違いないので、可能性に賭けてみたい気持ちは理解できる」(ヤクルト関係者)

 一方でグラウンド外でも「起用せざるを得ない理由」が存在しているのかもしれない。「20年オフに7年総額約40億円(推定)の超大型契約を結んだことが無関係ではない」という意見も聞こえる。

「球団は山田への投資分を回収しなければならない。チームの勝利はもちろん、集客、グッズ収入等で貢献してもらう必要がある。欧州サッカー等では出場時間やメディア出演、海外ツアーへの参加義務なども契約に組み込まれるのが常識。球団との間でそれに近い契約が交わされている可能性も否定できない」(スポーツマーケティング会社関係者)

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