子どもの安全、安心が確保される夏休の学童保育所(放課後児童クラブ、以下「学童」)は、子育て世帯に欠かせない社会インフラですが、実は、夏の学童はトラブルが多い時期だそう。夏の学童で起こりがちな3つのトラブルについて、学童保育の運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表で、学童事情に詳しい萩原和也さんに解説してもらいました。

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トラブル1 ギュウギュウ詰めで「ストレス過多」
トラブル2 子どもの「人間関係のこじれ」
トラブル3 子どもだけではない……保護者のトラブルも!

トラブル1 ギュウギュウ詰めで「ストレス過多」

 子どもが朝から夜にかけて学童で過ごすとなると、場合によっては10時間前後もの長時間、学童にいることになります。ここで念を押しておきますが、学童で過ごす時間が長いことが子どもに強いストレスを与えるものではありません。

 ただし、学童の「生活環境」に問題があると、子どもにストレスが余計にかかってしまいます。具体的にはギュウギュウ詰めの学童、これを「大規模状態」と呼びますが、目安としては、学童の子ども1人あたりのスペースが1.65平方メートル以下、畳一畳分のスペースしかない状態です。窮屈で圧迫感を感じる状態で何時間も過ごせば、圧迫感はもちろん、その場から発する音量も大きく、子どもは強いストレスを受けます。しかもそれが毎日続くとなればなおさらです。

 ギュウギュウ詰め状態は連日の猛暑でさらに悪化します。熱中症警戒アラートが出るような猛暑の場合、熱中症対策のため学童では基本的にエアコンが効いている室内で過ごさせます。室内であまり体を動かさずに遊び続ける時間が長くなると、これも子どもにとって強いストレスになります。 ストレスが強まった子どもは、あちこちで、いさかいやトラブルを起こします。それが激しいけんかに至ることもあります。学童の行き渋りも起きがちになります。

 保護者は、子どもが学童で受けるストレスを癒やす工夫を心がけましょう。朝晩または週末など子どもと一緒に過ごせる時間にしっかりコミュニケーションを取ってもらえたらと思います。

トラブル2 子どもの「人間関係のこじれ」

 多くの自治体では夏休み期間限定で学童に子どもを入所させる対応を実施しています。国も「サマー学童」を推進しているので夏休み期間のみ開所する学童を増やすよう自治体に働きかけています。

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萩原和也
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