西武時代の佐藤龍世(日刊スポーツ)
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 佐藤龍世が西武から金銭トレードで移籍した中日で、さっそく実力を示した。

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 佐藤は6月17日、バンテリンドームで入団会見をした直後のオリックス戦に「5番・三塁」で先発出場。1点ビハインドの初回1死満塁の好機に同点となる犠飛を放ち、8回にも追い上げの起点となる二塁打を放って、2打数1安打1四球1打点。今季初めての1軍出場で結果を出した。

以前からささやかれていたトレード移籍

 佐藤のトレード移籍は6月上旬からささやかれていた。開幕をファームで迎えた今年はイースタンリーグで41試合出場し、リーグトップの打率.324をマーク。4本塁打、16打点と好調を維持していた。三塁でレギュラー出場している外崎修汰の打撃が上向かない状況にかかわらず、1軍から声が掛からない。6月3日に三塁を守る山村崇嘉が昇格したことで、「佐藤はトレード移籍するのでは」という見方がメディア間に流れた。

 もともと実力は1軍レベル。昨年は93試合に出場し、打率.244、7本塁打、34打点をマークし、シーズン終盤は4番を託された。パンチ力に加えて右打ちなど状況判断に応じた打撃ができることが強みで、選球眼が良いことでも知られる。西口文也監督が就任した昨オフに外崎が二塁から三塁にコンバートされたが、佐藤の評価が低いわけではなかった。三塁の守備力で言えば、佐藤のほうが外崎より安定感がある。ハイレベルな定位置争いが期待されたが、自身の「愚行」でこのチャンスを手放した。

「1軍昇格に文句なしの成績を残しているが、優勝争いしているチーム状況で規律を重んじたということでしょう。あの一件で失った信用は大きい。他球団の方が出場機会を与えられるとトレード移籍に踏み切ったのは、西武の恩情です。新天地で心を入れ替えて頑張ってほしいですね」(西武を取材するスポーツ紙記者)

 「あの一件」。3月上旬、西武が日本ハムとのオープン戦を終えて札幌から静岡に飛行機で移動する際に、定刻になっても空港に姿を現さず、チームの移動便に乗れなかった。 球団関係者の話を総合すると、佐藤は移動日前日の夜、酒に酔って宿舎とは別のホテルで女性と一夜を過ごし、爆睡して寝坊、翌朝空港に出発する時刻になっても宿舎に戻って来なかったという。西口文也監督は佐藤を3軍に降格させると発表したが、詳細に触れず、「寝坊したから3軍に落とした。それだけです。危機感がないというか、現状で自分がどういう立ち位置にいるのか考えてほしい」と語気を強めていた。

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