「断酒する覚悟でレギュラー獲りを」
佐藤と親しい関係者が明かす。
「本当に心の底から落ち込んでいましたね。信頼を失う行動をしてしまった自分に腹が立ったのだと思います。ファームではプレーで結果を残すだけでなく、投手に積極的に声を掛けにいくなど献身的な姿勢が見えました。素行不良とか言われますが、最近は野球に向き合う姿勢が変わったと感じていました。自分よりチームのことを考えた発言が多くなり、『西武は絶対強くなる』と話していました。外見は派手な風貌ですけど、繊細で失敗を引きずる時が多い。深酒をするとプラスの方向にいかなくなるので、中日では断酒するぐらいの覚悟でレギュラー獲りを目指してほしい」
長年の課題である得点力不足が解消されていない中日で、佐藤にかかる期待は大きい。石川昂弥が「4番・三塁」で期待されたが打率1割台でノーアーチと不調が続いていた。高橋周平も左肘を負傷して今月12日に登録抹消となり、三塁の補強がチームの最優先事項だった。
中日OBは「佐藤はセ・リーグ向きの選手だと思います」と分析する。
「セ・リーグは変化球を中心に配球を組み立てる投手が多いですが、佐藤は変化球を打つのがうまい。ヒットエンドランなど色々な作戦に対応できるし、守備も本職の三塁以外に二塁、一塁など複数のポジションを守れるので起用法の幅が広い。井上一樹監督は緩んだ空気を締めて選手のモチベーションを上げるのがうまいので、能力を引き上げられると思います」
インスタの感謝の言葉に監督の名前なし
佐藤はトレード移籍が発表された翌16日に自身のインスタグラムを更新。スタンドの西武ファンに手を振る写真や、今井達也、西川愛也、古賀悠斗と一緒にお立ち台に上がった写真を掲載し、「僕は西武ライオンズがめちゃくちゃ好きでした!」と記した。続けて、西武の渡辺久信前GMや松井稼頭央前監督らの名前を挙げて感謝の言葉を記したが、そこに西口監督の名前はなかった。
西武OBは「西武愛が強い選手だったと思います。ただ西口監督に対しても感謝の言葉を記してほしかったですね。他意はないかもしれないけど、こういう文面は誤解されます。『立つ鳥跡を濁さず』で大人になるべきです」と注文を付けた上で、「中日で頑張ってほしいですね。不器用ですけどかわいい奴なんで」とエールを送る。
佐藤龍は今回が3度目のトレード移籍となる。戦力として必要とされているからこその移籍だが、グラウンド内外の立ち振る舞いで信頼を勝ち取れなかったことも事実だ。今度こそ、中日で攻守のキーマンになれるか。
(AERA編集部)
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